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第4話 北へ向かう花嫁馬車⑤

ผู้เขียน: なつめ
last update วันที่เผยแพร่: 2026-07-06 21:03:51

 自分の書いた言葉が、誰かの心に残る。

 たったそれだけのことを、どうしてあんなにも嬉しいと思ってしまったのだろう。

 車窓の外では、遠くの丘に白いものが見え始めていた。最初は岩かと思った。けれど目を凝らすと、それはまだ消え残った雪だった。春なのに、北へ向かうほど冬が戻ってくる。

 セレフィアはそっと指を絡め直した。

 自分の書いた言葉をまっすぐ受け止めて返してくる人。そんな相手に会いに行くのに、名乗るのは自分の名前ではない。偽りの花嫁として。姉の名を纏って。

 それはどんな罰よりも居心地が悪い。軽蔑される未来のほうがまだましだと思うくらいには。

 もし彼が、本当に手紙に書かれていたような人なら。

 もし彼が、自分の言葉をああして受け止めてきた人なら。

 会った瞬間に、何かを見抜いてしまうのではないか。

 その恐れが、王都を出てからずっと薄く胸へ貼りついている。父は「黙っていれば通る」と言った。母も「顔立ちは十分似ている」と言った。けれど紙の上で言葉を見てきた相手に、それだけで本当に通じるのだろうか。

 たとえ通ったとしても、自分は自分でいられるのだろうか。

 夕方、空が次第に灰へ沈
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